焙煎とは加熱のプロセスのひとつで、油や水を使わずに食材を高温(180~250℃)で加熱乾燥させる方法です。これは、ナッツや種のような食材に使用され、特になじみ深いものにコーヒーがあります。

〈コーヒー豆の焙煎のしくみ・1〉
コーヒー豆は、赤道に近い熱帯・亜熱帯地方の標高の高い地域で栽培される植物です。豆と呼ばれていますが、大豆や小豆のようなものではなく、柿やリンゴの種と同じ仲間です。
コーヒーを飲むときは、まずコーヒー豆を焙煎します。簡単に言ってしまえば、生の豆に熱を加え、成分を変化させることで美味しい食品に変化させることです。焙煎時間の長さによって「浅煎り・中煎り・深煎り」に区別され、酸味や苦味・色などに違いが現れます。一般的に市販されているものの多くは、酸味と苦味のバランスの取れた中煎りです。
コーヒーの味や風味の違いは、焙煎時間だけではなく産地や製法によっても多少異なります。コーヒー豆は、栽培されている国や地方によってモカやブルーマウンテンなどの銘柄が付けられています。基本的な成分は同じですが、栽培されている環境、実から果肉を取り除く精製の方法が銘柄によって異なることから、わずかな成分の違いが生まれ、それが香りや味の違いに結びついていると考えられています。
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 176号」より抜粋