2.人間は2つの心を持つ? その4
*心が生まれる流れ
③大脳辺縁系・大脳皮質で生まれる「2つの心」
- 大脳辺縁系・大脳皮質で生まれる「心(感情)」
大脳皮質の中でも前頭葉に位置する「前頭前野」は、扁桃体をコントロールするという大切な役割を担っています。例えば、扁桃体で生まれた「怒り」に対して、「今は起こるような状況でないから抑えよう」と判断し、扁桃体で生まれた「心(情動)」を受け流す。あるいは、その怒りを客観的にとらえ、「私は今起こっているけれど、いったい何に対しておこっているのだろう」と根本的な原因や打開策を分析することで、怒りをスムーズに処理する、などを行っています。

このように、大脳辺縁系で生まれた「心(情動)」を、大脳皮質では、より人間的な理性の「心(情動よりも高次元の感情)」に変化させているのです。人によっては、怒りを上手くコントロールできずに、そのまま爆発させてしまうケースもあるでしょう。発生した感情をどう捉え対処するかは、その人の前頭前野の発達具合によって異なると考えられています。
人間は、人間社会の構図に対応するために、大脳皮質を進化させ、他の動物には無い人間らしい「2つ目の心(感情)を作り上げてきたといえます。
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 194号」より抜粋