
*新たな国民病、慢性腎臓病の治療薬を初承認!
新たな国民病と呼ばれている「慢性腎臓病(CKD)」は現在、日本国内に約1330万人の患者がいるとされています。成人の約8人に1人が患者であるというほど、急増している病気です。
2021年8月、慢性腎臓病の治療薬が国内で初めて実用化されました。承認されたのはアストラゼネカが製造・販売する「フォシーガ」という薬です。どのような薬なのか、みていきましょう。
(1)新たな国民病、慢性腎臓病とは?
慢性腎臓病は、腎機能が慢性的に低下した状態を指します。腎臓の主な働きは、4つあります。
1.老廃物を尿として排せつ
2.体内の水分量と電解質を一定に保つ
3.ホルモンの生産
4.血圧の調整
腎機能が低下することで、むくみや貧血、夜間尿、倦怠感などの症状が現れます。しかし、腎機能が低下して体の異変や症状が出るころには、かなり進行している可能性があります。進行してしまうと、人工透析や腎臓移植を行わなければいけませんし、死亡することもあります。また、心疾患や脳卒中などを発症するリスクの増加も指摘されています。
慢性腎臓病の代表的な疾患には、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症、ネフローゼ症候群などがあります。これまで、慢性腎臓病の治療には専用の薬がなく、血圧を下げる薬などが使用されてきましたが、日本で初めて慢性腎臓病治療薬として「フォシーガ」が承認されました。
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 185号」より抜粋