〈第二章〉ホルモンを味方につけて“なりたい自分”を手に入れよう
1.「レプチン」を効果的に働かせるためには肥満改善が大切!
〈レプチンと肥満の関係〉
レプチンは脂肪細胞から分泌されるため、脂肪が増えるにしたがってその分泌量は増え、レプチンの血中濃度は、肥満に比例し上昇することが分かっています。そのため、レプチンは適正な体重の維持に働いていると考えられています。「肥満の人は、痩せ体型に人よりレプチンの働きによって、食欲が抑えられるのでは」という考えに至るかもしれませんが、そう都合良くはいきません。肥満状態の人の摂食は、必ずしも抑制されていないのです。その理由は、肥満が続くとレプチンが効きにくくなる「レプチン抵抗性」が起こるためです。レプチン抵抗性とは、体にレプチンが効きにくい状態を意味します。つまり、肥満になると脂肪細胞から分泌されるレプチンは増えますが、それが上手く体で作用せず、食欲を抑えることができにくくなってしまうのです。肥満になればなるほど、痩せたいのにお腹が空き、過食をしてしまうという負のスパイラルに陥ってしまうのはこのためです。

レプチン抵抗性が生じるメカニズムはよく分かっていませんでしたが、近年の研究により「PTPRJ」という酵素がレプチンの受容体の活性化を抑制していることが明らかになってきました。肥満に伴い脳内でPTPRJが増えることで、レプチン抵抗性が生じていると考えられています。
さらに、PTPRJはインスリンの働きを抑制していることも明らかになってきました。したがって、肥満になれば食欲を抑えることが出来なくなるだけではなく、インスリン抵抗性を生じさせ、糖尿病の発症にもつながってしまうのです。
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 196号」より抜粋











