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【もっと知りたい!食の知識~おいしさの科学~】その20
(2)いま話題の「熟成」とは?

料理には「一晩寝かせる」という表現があるように、熟成とは「食材を寝かせておいしくすること」です。これはエイジングとも呼ばれ、食材が元々持っている酵素の働きと外的環境(温度・湿度・時間など)の総合作用によって、タンパク質が分解されアミノ酸が増えることです。これにより食材が柔らかくなり、アミノ酸が増加することで旨味成分が増えおいしくなります。熟成はさまざまな食材に利用されますが、中でも代表的なものは「熟成肉」です。

<熟成肉のしくみ>

近年、「熟成肉」がおいしいと話題になっています。しかし、実はスーパーなどで売っている肉はすべて熟成されたものなのです。では、家畜が解体されてから熟成が完了するまでに、肉にどのような変化が起きているのでしょうか。

まず、家畜の心臓が止まると、血液の流れが停滞するため、筋肉をはじめとした細胞に酸素や栄養素が行き届かなくなります。酸素が不足すると、筋肉の細胞はエネルギーをつくりにくくなります。また、脳の活動も停止するため、筋肉を動かす指令も出せなくなります。その結果、筋肉は細胞に残されたエネルギー源を消費しながら収縮し続けて硬くなってしまいます。これを「死後硬直」といいます。細胞に蓄積されたエネルギー源が消費されつくすと死後硬直が終わり、筋肉は柔らかくなります。これを「硬直解除」といいます。

牛の場合、死後硬直から一週間ほどたつと、筋肉の細胞の中にもともと含まれている酵素の働きで筋肉のタンパク質が分解され、旨味成分のグルタミン酸とイノシン酸が増加します。イノシン酸は、筋肉を構成するタンパク質であるアクチンとミオシンの構造をゆるめ、筋肉を柔らかくすることにも役立っています。こうして肉を解体してからある程度時間がたつと硬かった肉が柔らかくなり、さらに旨味が増します。これが熟成です。スーパーなどで市販されている肉は、牛肉は約10日、豚肉は約5日、鶏肉は半日ほど熟成した状態で販売されています。また、熟成によりつくり出されたアミノ酸は、肉の香りを増す上でも需要な役割を担っています。なお、飲食店で提供されている牛肉の「熟成肉」の多くは、市販の牛肉よりも長い日数(30~40日間程度)熟成させたものです。

 

*豚や鶏を熟成しないのはなぜ?

豚や鶏肉は、短い期間の熟成でも十分に柔らかくなるため、長期間熟成させる必要がありません。また、豚肉や鶏肉に多く含まれる脂肪酸の二重結合は参加しやすく、長時間熟成させようとすると「酸化臭」といわれる悪臭の原因となります。つまり、豚肉や鶏肉の長時間の熟成は、メリットよりもデメリットの方が大きいといえます。

 

特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 176号」より抜粋

 
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