〈コーヒー豆の焙煎のしくみ・2〉
コーヒー豆の主な成分は、タンパク質、糖質、カフェイン、クロロゲン酸です。これらは、コーヒーの醍醐味である酸味や苦味、そして香りに大きく関係しています。特に熱によって変化を受ける成分はタンパク質、糖質、クロロゲン酸で、これらの成分が熱によって起こす現象はメイラード反応・カラメル化反応・クロロゲン酸の加水分解です。
まずは、メイラード反応です。これは、アミノ酸と糖質の反応で、コーヒー特有の褐色色素や香ばしい香りの成分をつくり出します。

カラメル化反応は、メイラード反応と同時に起こっています。変化としては褐色色素や香ばしい香り、旨味そして苦味です。メイラード反応と同じように感じますが、カラメル化反応は糖質のみの反応です。カラメルソースやキャラメルなどの甘苦い感覚がこれにあたります。ただし、反応が進み過ぎると糖が炭化(焦げ)し、苦みが増してしまいます。コーヒーの苦味成分の1~3割を占めているのはカフェインですが、焙煎による変化はほとんどありません。
クロロゲン酸は、ポリフェノールの一種で植物の持つ色素などの機能性成分です。これはコーヒー豆に含まれる酸の一種で、渋味や苦味にもなる多様な物質です。浅煎りだと酸味が強く現れ、深煎りだと苦味に変わります。
このようにコーヒー豆は焙煎することでさまざまな成分が変化し、おいしいコーヒーの風味や味をつくり出しています。
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 176号」より抜粋