
1.ストレスとは何か?
*「ハイリスクストレッサー」と「ローリスクストレッサー」
ストレッサーは刺激の強度によって「ハイリスクストレッサー」と「ローリスクストレッサー」にも分類されます。ハイリスクストレッサーは、生命の危機にかかわるような強い刺激で、戦闘や犯罪、交通事故、地震などが該当します。このような体験をすると怒りや恐怖、悲哀などの感情が生じ、場合によってはPTSD(心的外傷後ストレス障害)を起こします。それに対してローリスクストレッサーは、私たちが日常生活で経験する比較的危険度の低い刺激です。例えば、上司や同僚との人間関係や劣悪な環境、育児ストレスなどが該当します。しかし、ローリスクストレッサーであっても、その状態が継続したり増幅することで、ローリスクストレッサーからハイリスクストレッサーへ変わっていくこともあります。
このように、私たちは実にさまざまなストレッサーにさらされているため、常にストレスとは切っても切れない生活を送っているということになるのです。
しかし、脳という臓器はうまくできており、これらすべての刺激に反応するわけではありません。刺激の種類に問わず「これは」と注目した刺激にのみ脳が反応しストレス反応は起こります。私たち人間は個人によって異なる価値観や知識量、経験値、文化、感性を持っているため、ストレッサーが脳への刺激となりストレス反応が生じる過程は複雑です。
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 180号」より抜粋