- 脳のストレス対処力
人類の進化や文明の発達に伴い、古代によく生じていたような本能的な恐怖や怒りの情動は、社会生活や人間関係の調和を重んじる時代へと変化していく中で段々と不要となり、そうした情動を抑える必要性が高まっていくようになりました。そして、その役割を担うために発達した理性の脳が「前頭前野」です。
人間の前頭前野は、大脳皮質の前部に位置する「前頭葉」の大部分であり、大脳皮質の約30%を占めています。高度な脳活動をすることで知られる類人猿のチンパンジーでさえも17%ほどしかないといわれるため、生物学的にみた人間の特徴は、「大きく発達した前頭前野をもつ動物」であるといえ、人間が人間らしくあるために最も必要な脳領域であると考えられます。
〈前頭前野の働き〉
前頭前野は、思考や創造性を担う脳の最高中枢と考えられており、生きていくための意欲や、情動に基づく記憶、大脳全体から得た情報をもとに現状を認識し、未来に向け計画を立て実行し評価していく司令塔のような役割を果たします。そのため「オーケストラの指揮者」などに例えられることもあります。具体的には次のような働きを担っています。
・考える・意欲を出す・判断する・記憶する・アイデアを出す・集中する・評価する・応用する・情動をコントロールする・行動をコントロールする、など。

特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 183号」より抜粋