- 脳のストレス対処力
*前頭前野がしっかり機能する期間は意外と短い⁉
前頭前野は、脳の中での発達が最も遅い部位の一つに挙げられます。子どもから大人になる過程で、さまざまな経験や思考を繰り返すことで発達が進み、20歳代で完成すると考えられています。例えば、認知症になると記憶力の減退が見られますが、前頭前野の機能も低下することで、意欲が低下し、計画を立て実行することが困難になったり、知識や情報が十分にあっても判断ができないなどの状況に直面してしまうこともあります。

*前頭前野は「怒り」にすぐに対応できない
さまざまなストレッサーによって、私たちがカーっと感情的になり怒りが生じたとき、理性を働かせて抑えるのは「前頭前野」があるとお伝えしました。
ところが、怒りという情動が生じてから前頭前野がしっかりと働くまでには時間のズレがあります。一般的には、刺激に対して評価して、対処を行うために3~5秒ほどかかるといわれています。
そのため、怒りのコントロール術として「アンガーマネージメント」と呼ばれる手法が近年注目されています。反射的に行動せず、ひと呼吸おくことで、前頭前野の働きを待ち冷静さを取り戻して対応するというものです。現代社会を生き抜くために、仕事や人間関係を円滑に進める術であり、前頭前野を効率よく働かせるためにも学んでおくとよいでしょう。
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 183号」より抜粋