第一章 脳の謎を解き明かそう
1_脳は全身の司令塔
*脳の成長のカギ「神経細胞(ニューロン)」
脳を構成している細胞の一つに「神経細胞(ニューロン)」があります。神経細胞は、脳内に1000億個以上存在し、末端に「シナプス」という別の神経細胞との接合部位があります。シナプスはギリシャ語で握手という意味の「シナプシス」が由来とされ、神経伝達物質を放出して、別の神経細胞と情報を交換しています。シナプスの数は1~3歳前後まで急激に増えますが、それ以降はほとんど増えずに、毎日消滅しています。しかし、消滅したシナプスとほぼ同数のシナプスがつくられ、その時に別の神経細胞との接合の仕方や神経伝達物質に対する反応が変化していきます。これにより、情報の伝わり方が変化し脳は成長することができます。
そして、このシナプスの生まれ変わりは、成長期の子どもだけでなく、大人でも行われています。成長期の子どもと比較すると少ないですが、大人でも一日約1%のシナプスが生まれ変わっているとされています。ちなみに、大人より子どもの方が物の覚えが早いのは、子どもの方が生まれ変わるシナプスの量が多いからです。年を重ねていくと頭が固くなるという表現をしますが、それは年を重ねるごとにシナプスの生まれ変わりが減り、神経回路が変化しづらくなるためといわれています。
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 193号」より抜粋