第一章 脳の謎を解き明かそう
2_脳の老化の仕組みを知ろう その1
*加齢とともに神経細胞が減少する
脳は成人以降でも成長はしますが、加齢とともに物忘れの頻度が増えたり、運動能力が衰えたりといった老化現象は避けることができません。なぜなら、加齢に伴い神経細胞の数が減り、脳の容積が減少するからです。脳の容積が減少していくことを「脳萎縮」といい、20歳頃から脳萎縮が始まるとされています。年を重ねるごとに脳の容積はさらに減っていき、個人差はありますが70歳代では20歳の90%~95%程になり、90歳以降では80%以下になるといわれています。
特に、前頭葉、側頭葉、小脳、中脳などの神経細胞の数は著しく減少するとされています。それに伴い、以前より難しいことを考える能力が衰えた、流行りのものを見ても若い頃ほど心が動かされない、頭ではわかっていても体が昔のようにいうことを聞いてくれないなどといった変化が起こりやすくなります。これらの機能の低下をきっかけに、自分自身や周囲の人の老化に気がつくことも多いです。
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 193号」より抜粋