2_脳活2~コミュニケーションをとろう・前編~
*人と話すことは脳の広範囲を活性化させる!
私たちは何気なくコミュニケーションをとっていますが、実はコミュニケーションは脳の広範囲が連係をして行っているため、とても複雑で高度な行動です。

まず、相手が発した言葉は側頭葉へ伝わり、聴覚情報の処理が行われます。そして、相手が話している表情やジェスチャーなどの視覚情報の処理は後頭葉で行われます。この時、脳に入ってくる情報は相手の発した言葉や様子だけでなく、周囲の風景や他の人の話し声なども含まれます。コミュニケーションを円滑に進めるために相手が発した言葉や様子に注目する必要があり、それらの情報の選択を担うのは視床で、必要な情報を大脳皮質に伝えます。さらに、相手の言葉の意味を側頭葉で理解し、それを踏まえ、自分が発する言葉を前頭葉で考えます。そして、言葉を話すためには、声帯や口を動かす必要があり、それを担うのは前頭葉や小脳です。
このように非常に複雑であるため、健康であっても言い間違えや勘違いが起こったり、長話をしたときに疲労を感じるということが起こるのです。コミュニケーションをしているときは、この一連の情報伝達を瞬時に、そして何度も行っているため、コミュニケーションは脳の広範囲に刺激を与え、活性化させるにはぴったりなのです。さらに、時には何時間もコミュニケーションを続けることもあるため、長時間に渡り脳を活性化することが可能となります。人と話さなくなるとボケやすくなると聞いたことがあると思いますが、これは会話による一連の刺激が減るため、脳の機能が衰えていくからです。
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 193号」より抜粋