2.多彩な「人生経験」で大脳皮質を活性化!

心のコントロールには、大脳皮質にある前頭前野の機能が極めて重要となります。怒りを制御できるかできないかなどは、前頭前野の発達の程度で違ってくるのです。
前頭前野の発達具合は、その人の育った環境によって大きく左右されることが研究により分かってきています。いかに多くの経験をしたかということです。豊かな自然環境で育ったり、スポーツに打ち込んだり、多くの芸術作品に触れる機会に恵まれていたりすると、さまざまな心のコントロールをしやすくなる傾向がみられます。
こうした経験の豊かさにより、世の中には多様な人物がいて、人生には様々な出来事が起こり得る。また、誰かに対して何か行動をしたときに、相手はどういった反応をするか、自分はどういった気持ちになるのか。など、前頭前野が学習を積み重ねていくことが出来ます。そうすることで、大脳辺縁系(扁桃体)で生まれる心(情動)をコントロールすることが出来るようになっていくのです。もちろん大人になってからも刺激を続けることで、前頭前野をトレーニングしていくことが出来ます。
「心を豊かにする」そして、瞬時に生まれる本能的な心(情動)に振り回され過ぎずに、「心を強くし、安定させる」ためには、さまざまな感情や出来事を体験していくことが大切です。毎日の生活から時には一歩外へ出て、今まで見たことのない景色を見たり、食べたことのない物を口にしたり、出会ったことのない人などと関わってみましょう。
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 194号」より抜粋