4.自分への思いやり「セルフコンパッション」 その1
「セルフコンパッション」とは、文字通り「セルフ:自分」に、「コンパッション:思いやり」を向けることです。つまり、自分を労わることを指します。近年の心理学研究の中でも注目度が最も高いキーワードの1つといっても過言ではありません。セルフコンパッションの考え方と、心の影響をみていきましょう。

セルフコンパッションにおける自分への思いやりには、3つの基本要素があります。まず、1つ目は、「自分への優しさ」を持つことです。失敗したり悲しいことがあったときに、私たちは他者に対しては心配したり励ましたりと優しく接することが出来るにもかかわらず、自分のこととなると、自分を否定したりネガティブに考えがちです。自分に対しても、他の人が困っている時に優しく労わるような気持ちで、意識的に癒そうとする心を持ちましょう。
2つ目の基本要素は、「他者と共通の人間性」です。人は、困難に直面した際に、「なぜ自分だけどうして…」と悲観的になりがちです。悲観的になると疎外感や孤独感を感じてしまいます。そのため、辛いのは自分だけではなく、他者も同じような失敗や経験をしている。どんなに成功しているように見えている人たちでも、思うようにいかないことは起きているのだと、決して自分だけではないということを再認識する心を持ちましょう。
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 194号」より抜粋