〈コラム〉感情を湧き起こす!神経伝達物質
脳内で分泌され、特に感情にかかわる代表的な神経伝達物質を確認していきましょう。

・ノルアドレナリン
脳幹にある青斑核で作られ、前頭前野及び扁桃体、海馬など脳の広範囲に影響を与える。ノルアドレナリンが大脳皮質に作用すると、覚醒レベルが上がり集中力や判断力が上がる。また、扁桃体に作用すると、恐怖や驚きなどを感じるようになる。
・ドーパミン
脳幹の中脳に位置する腹側被蓋野や黒質で作られる。何らかの報酬を期待している時の高揚感や、何かを得た時の達成感をもたらす。海馬に作用することで記憶を強化する作用を持つ。
・セロトニン
脳幹の縫線核で作られる。ノルアドレナリンやドーパミンなどの調整役として働き、感情の安定にかかわる。
・オキシトシン
視床下部の室傍核で作られる。その後、下垂体後葉から血液中に分泌されホルモンとしても作用するが、脳内でも影響を与えている。他者を認知する時にオキシトシンの分泌が高まると、その人への信頼度が高まり愛情が深まるといわれている。
・エンドルフィン
脳内で働く複数のペプチド(アミノ酸が結合したもの)を総称してエンドルフィンと呼ぶ。エンドルフィンは、ドーパミンの分泌を促す作用がある。そして、痛覚における嫌悪や不快感を強く阻害すると共に、強い多幸感や満たされた感覚をもたらす。
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 194号」より抜粋