
人類は古代に農業を始めてから、害虫や雑草などから農作物を守るための努力を重ねてきました。農薬がなかった時代には、太鼓やたいまつを持ち、田んぼの周りを歩いて虫を追い払っていたといわれています。また、江戸時代には、クジラの油を水田に撒いたり、昭和初期にはたばこの成分である硫酸ニコチンや蚊取り線香の成分である除虫菊などが使用されていました。
戦後に入ると、科学技術の進歩により化学合成農薬が使用されるようになり、収穫量の増加、農作業の効率化が進みました。しかし、人に対する毒性が強い農薬の使用により、農薬使用中の事故が多発しました。また、農作物や土壌に残留する性質が高い農薬も明らかになるなど、1960~70年代に農薬が社会問題となりました。1971年に農薬取締法が改正されたことにより、厳しく規制され、一部例外を除き登録された農薬だけが製造、輸入、販売ができるようになりました。
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 発行「ほすぴ 175号」より抜粋